アクアポニックス(魚耕栽培)の最大の特徴でもある「魚も同時に養殖できる」という点。野菜やハーブの生産だけではなく、同時に魚も収穫、もしくは鑑賞することで、他にはない農法を身体で感じることができる。このページでは、代表的な種類3つを紹介していきたい。

前提:育てることができるのは淡水魚

まず前提として、アクアポニックスで育てることができるのは淡水魚となっている。水槽内の水が植物にも流れるので、塩分を含んだ水は使用できない。

1. 金魚

アクアポニックスで選ばれる代表的な魚
適温:15度〜28度
体長:2cm〜20cm
食用:不可

日本では馴染みのある魚、金魚。寒さや暑さに強く、丈夫な魚としてアクアポニックスではよく選ばれている。こちらは小規模から中規模向けの魚で、主に鑑賞用となる。

2. 鯉(こい)

アクアポニックスで選ばれる代表的な魚
Photo credit: LEONARDO DASILVA via Flickr

適温:18度〜24度
体長:60cm〜1メートル
食用:可

日本では神社の池などでよくみかける魚。高級観賞魚として世界的に有名で、「Nishikigoi」(錦鯉)という言葉があるほど。食用魚としても流通しており、日本だと甘露煮や刺身にして食べることもある。

鯉も金魚と同様に寒さと暑さに強く、水温零度でも耐える能力を持っている。ただ、体長が60cm以上と大きくなる魚なので、投入する場合はある程度の規模が必要。中型から大型システムに向いている。

3. ティラピア(いずみ鯛)

アクアポニックスで選ばれる代表的な魚
Photo credit: Destinationkho via Creative Commons

適温:25度〜30度
体長:最大40cm程度
食用:可

日本では馴染みのない魚。もともとはアフリカと中近東に生息していた魚だが、食用魚として様々な地域に流通し、今ではアジアからアメリカまで世界中でみられる魚。海外では、レストランで白身魚の料理として出されているほど一般的で、日本でいう鯛のような感覚で食べられている。

ただ、比較的暖かい地域に生息しているため、地域によっては冬場にヒーターが必須となり、日本では食べる習慣もないため、第一候補として上がることは少ない。

環境さえ整えば比較的容易に繁殖ができるので、一般的に食用魚として普及している海外の地域ではアクアポニックスシステムの魚として最も選ばれている。収穫されたティラピアが農場近辺のレストランに卸されることも珍しくはない。

日本でも沖縄や鹿児島などの南側の湖に自然繁殖しているが、繁殖力がとても強い関係で、地域の生態系に悪影響を及ぼすとして「要注意外来生物」に指定されている現状がある。

その他の選択肢

冒頭で述べた通り、アクアポニックスでは淡水魚であれば育てることが可能であるため、他にもマス、淡水エビ、ザリガニなど、選択肢はある。ただ、一般的には今回紹介した3種が多い傾向がある。

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目次
はじめに
アクアポニックスとは
将来性と市場規模
アクアポニックスと水耕栽培の違い
8つの特徴
アクアポニックスの循環
ー 選ばれる代表的な魚(現在のページ)
アクアポニックスの歴史